楽曲についての解説をここに記しておきます!





■アルバムについて
このアルバムのコンセプトは「音ゲー」で、音楽ゲームに提供した曲で固めたアルバムなんですが、完成に至るまで音楽ゲームのお仕事を多くいただけたことで完成に至りました。自分の音楽は一般受けするとはとても言えない感じですが、それでも頼んでみようと思ってくれた各メーカー様、プレイしてくれた皆様、これまで支えてくれたリスナーの皆様のおかげでです、ありがとうございます!

音楽ゲームに特化したアルバムについてはもう1年以上前から構想を練っていました。コロナの影響でリリースがずるずる伸びてしまいましたが、結果的に収録曲も増え、スーパーリリース21というタノシーの企画も盛り上がり最高のタイミングで出せたと思います。

タイトル「EXTRA HARD」は、安直ですが最高難易度や、エクストラステージ、モードを連想しています。自分の曲は難易度になりやすいので…ジャケットデザインはお馴染みレクさんで、「架空の音ゲーをプレイする俺」というオーダーをさせていただき、完璧な形で応えてくれました。(ノーツを入れてみたところ某ゲームに酷似してしまったためボツったという裏話があります。)

エクステンドとオリジナル両方収録したのにも理由があって、エクステンド版ってオリジナルから良くも悪くも印象が変わってしまいがちで、オリジナルの方がよかった、という人も多くいると思っています。実際俺もその気持ちよくわかります。そして今回はエクステンドをただのロング版ではなくアップグレード版として作りたいという気持ちが強くありました。でもそうなるとやはり慣れ親しんだ原曲との相違が強く出てしまう。なので原曲をなるべく手を加えない形で収録して、エクステンドも入れれば解決でしょ!と思ったわけです。そして後ほど触れる6曲のリミックスも含めて28曲2ディスクという大容量になりました。

前回のアルバムを出して以降、自分の活動を音楽ゲームシーンに注力したのも意図的なもので、このアルバムが形になった事はある意味集大成です。メジャーとは言えないHARDCOREというジャンル一本でどこまでいけるのか拘りをもってやってきました。その成果を是非聴いていただければと思います。





■Don't Stop the Game
実質リード曲。3度目に太鼓の達人に提供した曲で、今までの曲は速かったので今回はちょっと遅め、メロディアスな感じでいこう、というコンセプトです。タイトルはそのままで、ゲームをずっと楽しんでもらえればなーという想いから。このアルバムのコンセプトにもなってます。自分の書いた音ゲー曲が末永くみんなに愛されたらうれしいなーという気持ち。この曲の一押しポイントはメロディと、サビで高くなるキック。普通このコード進行だとキックのピッチは下にいきたくなるんだけど、太鼓の筐体で聞こえやすいように上にいってみたところ逆に新鮮な感じになりました。exPERIMENTというコンピのTimeleapという曲の音を結構使ってます。ロング化するにあたり展開を足すことなく、クラブトラックとしての完成形を目指しました。



■Killing Rhythm
この曲はチュウニズムに提供した曲で、クロスブリードというシブい発注を受けてうれしくなって気合い入れて音を詰め込んでます。最高難易度にしてもらったんだけど、チュウニズムの最高難易度って曲数少ないという事で話題になり、ありがたい事に当時ツイッターのトレンドにも入りました。自分の代表曲の一つです。クロスブリードって本来まったくポップじゃないので、うまい事音ゲー曲に落とし込むことを意識して作ったんだけど、結構イカつい感じになりました。ただ音数の多さから音ゲーとの相性は悪くなく、それほど悩まず完成することができた。結構自分の声入れてる。キリングリズムとかシャウトとか。ロング化するにあたり、もっとこうしたいみたいな新規パートを入れた。特にラストの変則リズムは音ゲーでやったらまずいだろうな、と思ってやめた案でしたが別にやってもよかったかもね。



■Behemoth
これも太鼓の達人!ゴッドコレクションというシリーズの楽曲で、神にまつわるコンセプトということで、正直相当悩んだ!バンナムの方にも相談に乗ってもらい、ベヒーモスに着想。神話に出てくる超いかつい獣!曲は自分が考える王道の音ゲーコアみたいなのを目指した。見どころはこれもメロディかな!意外とあんまりやらない16分メロで、終わりに向かって盛り上がっていく感じ!キックとリードシンセの抜けが我ながらGOOD!2年前の曲なので、ロングでは結構ガッツリミックスとか変えてます。バンドの打ち込み力が上がったので中盤の遅くなるとこはほぼ作り直して大満足!聴き比べると全然違うわ…



■Hell Flame
これはWACCA稼働に合わせて書き下ろした思い入れの強い曲。WACCAのゲーム性を考えるとあまりザ・音ゲーって感じの音の詰め込み方をしなくていい代わりに面白くするのがむずかしい、という所から考えた結果キメを多めに入れつつ自分らしさを出す方向にしました。専門的な話になっちゃうんだけど、筐体鳴りを意識して普段作る曲とはだいぶキーを変えるという実験的な事もしている。タイトルはノリ!これもタイトルの声ネタ自分です。
WACCAの稼働日、Dominatorに行くためにオランダに発つ日とかぶってしまい、告知を離陸直前にギリできた、という事を思い出した。その後10日くらいして帰国してすぐやりに行った思い出。
この曲はメロの譜割が結構特徴的。そしてダーク。シンプルにかっこいいバランスの取れた曲になっていると思います。
ロング化、かなりいい感じ。これにて完成という満足感がある。ミックスも直したし、新パートをかなり違和感なく挿入できた。どのパートもお気に入りなんだけど特にビルドアップの後のドロップ(音が減るとこ)バチっとはまっているな



■Accelerator
Cytusに書き下ろした曲です。太めのキックで3連符、オラつきめなメロディという好きな要素を詰め込んだ曲。途中キックの連打が来るところがあって、ここは難易度意識!
当初はBlackholeという曲名にしようと思っていたんだけど、Cytusに同名の曲があったので後からAcceleratorにしました。声ネタにもその名残あり。なんとこの曲が実装された後MNKがAcceleratorという曲をCytusに書き下ろすというオモシロが起こった。まぁ曲名かぶりはあるあるだよね。
ロング版はミックスを修正しつつクラブトラックの形にしたという王道スタイルだ!



■Black Territory
こちらはArcaea書き下ろし。タイトルの通り暗黒な感じにしました。この頃BPM200くらいの曲を良く作っていた。この曲に関しては手癖と勢いでできたので苦労話とか制作秘話みたいなのも特に無し!
ロング版は新パートガン増しでドロップとかも結構攻めた構成になっている。



■Fight for the CORE
TANO*C Wの緑チームのアンセム!アンセムを初めて任されたので結構悩んじゃいましたね。アンセムといえばボーカル!ということで以前より交流のあったSEVER BLACK PARANOIAというバンドのボーカリストDaisukeさんに歌って頂きました。作詞と、楽曲制作も手伝って頂きました。ありがたすぎる!バンドサウンドとクラブサウンドが完全に調和し理想の形となっています。
WACCAに収録する際に短くエディットしたのですが、規定より少し長めになっているのをオマケで収録していただいたという事がありました。



■Sickest City
Cytusに書き下ろした曲です。陰鬱で哀愁漂うメインストリームです。この曲も手癖ですぐに出来たと思う。今聞くと音ゲー向けとは思えないシンプル構成。Sickestっていうとスラングで最高の意味としてよく使いますが、この曲はまんま病気の陰気な街をイメージしてつけました。今やちょっと笑えない感じのタイトルですね…
おそらくこのアルバムで一番古い曲。ロング化するにあたりミックスもガッツリ直したので聴き比べてみてください。



■Jingle Death
WACCAのクリスマス企画でGramさんと共に作った曲。ジングルベルを圧倒的アレンジ力でレクイエム化してもらったものに自分が歪んだキックやスクリーチをぶち込み、死のジングルベルに。
MVの撮影が大変だった。バールやバットで廃材を破壊するというものなんだけど、破片が飛んできたり衝撃で手を痛めたりした体を張った。YouTubeやWACCAの筐体で見る事ができますので是非。
ロング版は自分が作った音はほぼ作り直してます。別バージョンみたいなってしまったがこれはこれで。



■GENOCIDER
この曲はWACCAのボス曲になることが発注時点で決まっていたので張り切って殺意を込めた曲。タイトル通りプレイヤーをジェノサイドしちゃうぞという気持ちで作りました。WACCAってあからさまな速度の可変が無いと思ったので加速するパートを入れてみた。キックの種類と展開が多い曲。
ロング化するにあたり、加速パートをよりめちゃめちゃにするという欲求があり無事叶えることが出来ました。



■EXTRA HARD
表題曲。最初は一曲目にしようと思っていた。メチャメチャに悩んでしまって3か月くらい何も進展せず、何とか形になったものの納得いかず入稿前日に全ボツ、入稿を無理言って伸ばしてもらって伸びた3日で死にそうになりながら作った曲。以前にタノシーハード用に作ってボツにした曲を流用している。最初に形にした曲は綺麗なメロディのメインストリームだったんだけど、EXTRA HARDつってんのに全然HARDさが足りねぇ!となり、タノシーハード用に作った曲はいくらなんでも激しすぎてキャッチーさが足りないないな、と思いボツにしていたこともあって、ここにもってくるしかねぇと思いそのようにしました。自分のルーツでもあるラウドで少しクラシックめなバンドサウンドから近年のキックがスイッチする構成、古めな音や過去に使った音、声ネタをちりばめてあります。 メロディは完全に勢い!
アルバムがオリジナルとエクステンドをそれぞれ収録するというコンセプトだったのでこの曲もそのようになっています。音ゲー尺の方がFワードにかかっているピー音が長くなっており、お行儀がよい。



■Don't Stop the Game (USAO Remix)
この曲のメロディと声ネタはUSAOとの相性が良いだろうなと思い依頼。元のテンポも遅めだったのでいい感じに彼感が出たリミックスにしていただきました。最近のUSAOの曲だいぶ攻めてて面白いんだけど、この曲も展開がユニークで最高! 十数年前から彼のフレンチコア聴いてるけど、未だ進化を続けててほんまリスペクト…



■Fight for the CORE feat. Daisuke (DJ Noriken Remix)
俺はDJ NorikenのアルバムでSoldiersをリミックスさせていただいているんだけど、TANOC*Wのアンセムリミお互いやろうぜってもうずっと前から話していてやっと実現しました。UK HARDCOREでお馴染みのノリちゃんだけど、実は歪んだキックも得意としており、今回はユーフォリックフレンチコアを作ってくれました。綺麗でエモいアレンジになっててめちゃんこ感動した、ほんとにいい曲!



■Hell Flame (Noizenecio Remix)
ゴリゴリメインストリームな曲なので、この男しかいないと思い依頼!独創性の塊で俺が日本で一番好きなHARDCOREアーティストです。俺が活動を始める直接的な要因でもある人で、タノシーメンバーで一番古い付き合い。隠居気味なので少しは顔出しなさいよ、という意味も込めてお願いした。彼の曲っていつもぶっとんでるんだけど、今回もだいぶオモシロリミックスだった。今回のリミックスでここまで崩したのは彼だけ。



■Behemoth (Massive New Krew Remix)
この曲は割と速めだけど、あえてMNKにお願いしてみました。 俺はMNKの陰気なメロディの曲が大好きなのでそうなるかなーと思ってたらやはりそうなって最高!彼らともタノシー加入前からの付き合いで、タノシーに同時に入った唯一の同期。



■GENOCIDER (Kobaryo's FTN-Remix)
この曲は元々ハチャメチャだけど、こばちんに御願いしたらどうなっちゃうんだろうと思い依頼。かなり不穏な雰囲気になり、サイケが来たかと思ったら爆速になるという彼らしいハチャメチャ感が楽しめるリミックスに!こばちんはまじで作風広すぎてクオリティもとんでもないおばけ…



■Killing Rhythm (Camellia's "Khaotic Re-rhythmization" Remix)
これはかめりあくんに是非リミックスしてもらいたいとずっと前から考えていました。「よりキリングリズムにしてほしい」と伝えたところ、相当な激しさと密な展開にしてくれました。曲通して圧倒的暴力って感じの勢いなんだけど、音の作り込みが細かく丁寧で感服。途中でメトロノームが鳴りだすところが試されてる感じして好き。